あたしも





一度だけ





アンタに溺れてみたい。





そう思っちゃったあたしは、もうアンタに恋してるのかな。






「あたしだって…期待しちゃうんだよ…」






「ぇ…」






目を丸くしてあたしを見つめるアンタの目が、少しほほ笑んだように見えた。







甘くて静かな時間。







あたし、流されちゃってもいいかな







一度だけ。






苦い夢を忘れさせて。






全ての痛みを和らげて。








「長い髪もよかったけど今の短ぇのも色っぽいかもな…」






楠はそっとあたしの短くなった髪をすくった。







【長い髪 end】