何も会話のないまま、あたしの家に到着。
「お邪魔します…」
緊張した面持ちで楠の笑顔がひきつってる。
「ぷっ(笑)何その顔」
「緊張してんだよ!わかれっ」
ふてくされたように笑う楠。
その直後、お母さんが奥からのそのそと出てきた。
「もうっ愛梨遅かっ……。まぁ!」
「お、お邪魔します」
「え?!愛梨、彼氏なの?ねぇ!」
「違…「いつもお世話になってます。楠 猛です」
な、何言っちゃってんの!!?
お母さんに彼氏発言しないでよ!
なんて言えないあたしはお母さんのリアクションをみて血の気が引いた気がした。
「あらぁ、上がって上がって~。おとーさーん?」
お、お父さんまで出動?!
「ん…?…おお、いつも娘が迷惑かけてるだろう…すまんな」
お父さんはもう、現状を理解したらしく無口なくせに珍しくぺらぺらと言葉を放った。
それに屈することもなく、楠は笑顔を作ってた。
偉いなぁ…