深刻そうな楠の顔を覗きこんで作り笑いとかしてみる。
笑えてるかな、あたし。
「なら…いいけど。っつーかお前王子役だろ?!!」
ゲラゲラとまた、くったくなく笑う。
「なんで知ってんのよ!!」
「愛梨…確か楠くん、隣のクラスだったんじゃない?」
冷静に結衣は冷めた口調で言い放った。
「…え(笑)」
「なんで苦笑いなんだよ!!」
「楠君もとうとう笑いものね。愛梨、コレ見て」
取りだしたのは、さっき受け取ったばかりの台本…らしい。
✯王子 矢澤 愛梨 1組
✯姫 楠 猛 2組
✯臣下 雛森 結衣 1組 その他1,2組
――――…。
「ぷはっ!!(笑)あ、アンタッ!姫役?!あはははっ!!似合わないぃぃ」
「うるせーー!好きでやってるんじゃねーんだよ!」
「その容姿も楽じゃないのね」
結衣ですら笑いをこらえながら、静かに相手をバカにした。