あの電話から5日。
あたしは、楠の言葉を忘れて文化祭の準備にはしゃいでいた。
「あたし、王子サマ役なんてできるかな…」
HRで決まった文化祭でやる演劇の役決め。
王子様は、なぜかあたしで即決定だった。
いやいや、おかしいでしょ。なんて言えず、クラスの期待を背負っちゃいました…
「しょうがないよ。2クラス合同演劇だし」
「しょうがないの意味がわかんないよぉ…」
「だーから!隣のクラスと合同なわけでしょ?お姫様役は男子がやるみたいだし…」
「えぇ?!」
だ、男子がやるの??
まぁ、あたしが王子やってる時点で薄々そうなのかなとは、考えを張ってたけど。
これ、ほんとだったらマズイ。
「カッコいい奴と当たれば文句なしじゃん。ね?」
ね?ってそんな怖い笑みを浮かべないでください…
「なんであたし、王子…裏方やりたかったのにぃ」
「アンタが髪切ったからでしょ」
「それは…」