「アンタそうやって遊んでると痛い目み≪ピンポーン…≫
ん。宅配かな?
こんな時間に珍しい…
「いいのか、でなくて」
「お母さんいるし、大丈夫。――それより、アンタね!いい加減に…」
カチャ…
え?
あたしの部屋のドアが小さく開いた。
そこから流れ込む空気の中、微かにベリー系の甘い香水の香りがした。
だ、誰?
「――――――雛乃…?」
あたしの疑問と沈黙を破ったのは、楠だった。
表情は明らかに驚いてる、……そして拳には怒りを露わにしてる。
そういえば、この二人どーゆー関係なんだろ…?
「やっぱり…猛ここにいたんだね♫」
「いたんだねって……誰から聞いた」
「猛のとりまき???最近、不機嫌そうにしてたからぁー」
ぐっと一段階拳を握りしめた。
猛、怒ってる。
しかも、家に、あたしの部屋にいるのはまぎれもなく南さんで…
あたしとはそれほど関わりはないから、猛目当てなんだろうとは思ってたけど…
「…何しにきたんだよ…」
あたしはただ、2人の間で視線を動かしていた。
その時、南さんの口の端がすっと上がった気がした。