「ちょっと!楠ッ、あたし、別にっ…」
「強制だっつったろ…」
「っ……」
ほんと、自由すぎるっていうか、強引っていうか…
掴めない奴…
「あたしじゃなくても、可愛い子いっぱいいるでしょ……」
なんであたしなんだか。ちっとも嬉しくないし。
贅沢なのは分かってる。学校一のモテ男に惹かれないほうがおかしいんだよね。
「なんか、気に入った」
「なっ、なんかって何よ!なんかって!」
「新鮮だった、のほうがいい?」
「意味わかんないし!」
「それに……」
何、まだ続きが______?
あたしの位置から楠の表情が読みとれなかったけど、
かすめる息が、少し荒くなったような気がした。
「く、楠っ…?」
「悪い。なんでもない」
「あ、そ…」
変な奴。
「っていうかね、楠……」
「あ?」
「…………すんごく、近い…です」
息がっ!耳にかかるし!
はぅぅ…
慣れないな…
どうにかして、コイツと別れて、かつ遊びの恋愛がどれだけ痛いか思い知らせてやるっ!