「お前の事、知らないなって」
「…は?」
「名前もさっきプレート見るまで知らなかったし……あれ、本名だろ_?」
アンタに教える名前もないわよ!
なんて言えない…。何されるかわかったもんじゃない。
首を小さく縦に振った。
「矢澤、愛梨。…可愛い名前」
「なっ…」
「―――にしても、高校生には、ふさわしくないバイト先だなー」
ギク。
ヤバイ。
この流れは…!!
手に汗をかくくらいあたしは焦っている。
徐々に口の端があがっていく。見るからに悪いこと考えてる顔。
カッコいい顔が台無し。
ほんとに悪役だよ…。
「脅したって、きかないんだから…」