呟く結衣の声が真っ先にあたしの耳に入ってきた。
「わざわざ、他クラスからいじめにくるとは…さすが、モテ男…」
手ぶらで教室に戻ったあたしを待ち構えていたのは、ニヤニヤした結衣。
飲み物買いに行ったんじゃなかったのー?なんて苛めてくるし。
「アンタ、すごい気に入られてるじゃん」
「は?」
「明らかに、愛梨には態度が違うっていうか…」
「ないない…。あの人は、人をいじめるのが好きなんだよ。」
それっきり、結衣は黙ってしまった。
…あたし、何も間違ったこと言ってないし。
「一回でいいからさ、付き合ってみれば?」
「え?!!!!」
ガタンと椅子を倒して立ち上がった。クラスの視線があたしに向けられた。
あぁ…あたし、目立ちすぎ…。
「ばば、バカじゃないの?!あたしはっ、好きな人とじゃないと…」
「付き合ったら、好きになるかもしんないよ?」
このモテ女をどうにかしてください…。