ぎゅっと目を瞑って、勇気を振り絞った時だった。
「―――俺と、何?」
「だから猛とっ…って、えぇ?」
あたしたちを壁で挟むように、立っていたのは…一人しかいないけど…。
な、なんでいるの!
「猛、学校もう来て大丈夫なわけ!?」
「なんか俺、すっげー回復っぷりでさ、許可出たんだ。片方腕使えねーけど、支障なし」
お医者さんも無理させてないといいけど。
「猛ぅっ!♪」
「ウルサイ。雛乃、何してんの」
「え?事情聴取だよぉ」
「そうなの?愛梨」
「まぁ…」
明らかに分かるでしょ。てか、分かってて言ってるでしょ。
猛は一つため息ついて、ニヤリと笑った。
ちょ。え?
その笑い方は、悪いこと考えてるよね?
「雛乃、そこで、じっとしてろ。動いたら口きいてやんねー」
「はーいッ♪」
動きませんよとばかりに、猛の足元で体育館座り。
あ、なんか小さくてまん丸だし…ボールっぽい(笑)
じゃなくて!
何するつもり?ここで兄弟同士、説教?
いや、まず猛はココに何しに来たんだろう?