悔しさを押し殺して、私は微笑んだ。

 同じベッドの中で、貴方の胸の中で、貴方と見つめ合い微笑み合う姿は、傍から見れば一夜を共にした仲睦まじい恋人達に見えない事もないでしょう。

 私も理想を言えばそうあって欲しいものですけれど、現実は少し違います。

 にんまり笑う私に、貴方が私の様子を伺うように構えた。

 私の笑顔の種類を見分けるなんて大した者ですね。


「竜哉サンはお姫様だって事を失念してますよ?」


 行動開始。

 貴方に寝顔を見られた事で少しだけ予定が狂ってしまいましたが、巻き返させて貰いますよ?

 私はお情け程度に互いの身体に掛けられていた毛布を除けると、貴方の胸元にあった手を押し仰向けになった貴方に跨った。