困ったように私を睨む貴方は、何を思ったのか慌てて私の手を放した。

 手を放せば背中に張り付く私が離れるとでも思ったんでしょうか。

 仕方ありませんねぇ。

 笑顔で離れてあげます。

 私は大人ですから。

 店内で襲うなんて常識的な大人のする事じゃありませんから。

 本当は貴方を撫でたいんですけれど、ここじゃあんまりなんで鈴蘭を撫でてみる。

 連なる小さな花が弾むように震える姿は、とても儚く繊細で思わず引き千切りたい衝動に駆られそうです。

 病んでますねぇ。