その後の休み時間、あたしはたまたま彼とクラスメイトの会話を聞いた。



「お前、号令でなんか言ったりしてないんだろ?」




「うん。けど殴られたほうがいいかなって」















『カッコイイ。』





そう思った。










確かに号令でふざけたのは二人で、

号令は関係なしにふざけた男子は他にもいた。




自分がふざけていたことを彼は自覚してたんだろう。






『他の奴みたいにすれば良かったのに。バカだなぁ』
なんて思いつつ、



その素直で正直なところに

あたしは完全に惹かれてたり。








ごく稀に話しかけられただけで
カタコトになって焦るし。






目があったら
身体中が暖房機みたいになるし。





友達とバカやってたら
あたしも自然と笑顔になるし。






授業中に隣で気持ち良さそうに寝てたら
目は離せなくなるし?







そりゃ他の女の子と楽しそうにしてたら
羨ましいと思うよ?









あたし、けっこー低レベルだなぁって

自覚はちゃんとしてるけど。






恋ってみんな
こんな感じだよね?









小さな一歩が踏み出せない自分に苛つく。




あたしも沢山話したい。



あたしのこと知ってほしい。



あたしの存在が少しでも大きくなってほしい。



1mmでもあたしを好きになってほしい。
















もちろん願ってばかりじゃ、
神様っていう理不尽の王様は微笑んでくれたりしないから。







ドキドキを隠して

思いよ、届けっ!って願掛けて。

頑張ろう!って息込んで。









髪はトリートメントしてみたり、


少しスカート短めを心がけたり、


笑う練習してみたり。






深呼吸して学校に来てるなんて
あなたは知らないでしょう?













『今日こそ!』












こうしてあたしの1日は始まる。