きゅうりは青山さんに向き直る。

「不備はないか、確認したか?」

 青山さんはしばらく私を眺めていたけど、ハッとしてきゅうりのほうを向いた。

「はい。大丈夫です。明日提出で、今年中に情報訂正できます」

 話を聞いていると、つまりこういうことらしい。

 留学していたお嬢さんは、留学する前に一人暮らししていた街から住民票を実家がある街へ移しておらず、このままだと本人から契約をもらう際に手続きがややこしくなるので、その手続きを今日していたらしい。

 それで、担当の青山さんが居たんだな、と私は納得した。

 ・・・・でも、他の人は、何で私がここにいるのって思ってるみたい。

 いや、それは私も是非知りたい。

 私が至福のぬくぬくクリスマス計画を放棄して連れてこられたのは、一体何でなのか。

 青山さんから手渡された書類を確認して頷いていたきゅうりに、3人の視線が集まる。

 そして―――――――――――――


 書類を封筒に入れて青山さんに渡したきゅうりは、営業スマイルのまま、長谷寺さんに向き直って、さらりとこう言ったのだ。


「長谷寺さん、紹介します。今、交際中の、彼女の瀬川です」