特に重要でもないから、これ以上聞くのは止めよう。



ドアから静かに離れる。




「椎も、次期当主になるのよ?」




嬉しそうな紀子さんの声。




「当主になるための準備で、忙しくなるだろう」



「許嫁として、紹介しないと♪」



当主...。



忘れてた。



椎は18になったそのときに、当主になることが決まっているんだ。




それに許嫁も...。




そんな大事な時期に、あたしは余計なことをしちゃいけない。




椎に寄り道をさせちゃダメなんだ。




グッと拳を握りしめる。