部屋から出るときに、ミシェルがあたしに声を掛けた。




「歩はダメな男に好かれてるのね。日本でもそうだったけど」




「ホント。あたしはしっかりした男が好きなのよ?」




溜息をつきながらそう返す。




すると、ミシェルは笑った。




「嘘ばっかり」




あはは、と笑って部屋を出る。





8年前にアメリカに来て、どこに住もうか迷ったときにミシェルと街で会った。




『住むところがないなら、うちにおいで』と




無邪気なまだ幼さが残る笑顔で彼女に言われたの。





それに甘えて、今ではミシェルの家から通勤している。