椎に『行くな』なんて言われたら、ホントに離れられなくなっちゃうじゃん。





あたしは椎に触れなかった。




すると、



「あーっ、もーっ!」




目を瞑って、髪をぐしゃぐしゃと掻く椎。




「ちょっと、椎??!」




椎の行動の意味が分からなくて焦る。




だって、急にこんなことするもんだから...。




掻き上げた髪の隙間から見える、妖艶な瞳と笑み。




不覚にもどきっ、と胸が鳴る。




「歩が決めたことに口だしはしない......」







――――ぽすん





柔らかい毛先が首筋へ当たる。





椎の額が、あたしの肩に降りる。