「ずっと、言えなかったけど...俺、歩のことがす――――」




動く椎の唇に人差し指を当てる。




あたしの指を驚いた瞳で見つめている。




「やっぱり、あたしから言うね」




続きは分かった。





だから、言わせたくなかった。





人差し指を離しても、椎は何も言わなかった。





「あたしね、これからアメリカに行くつもりなの」




口角をあげて、はっきりと伝える。




椎は眉を寄せて、困惑した表情を見せる。




「本部から紹介してもらって、アメリカで訓練を受けようと思って」




自分の意志を伝える。