意識していても、体が動かない。





刺される





そう覚悟した。














「―――――ボサッとしてんなよ」





いつの間にか、椎が男を押さえていた。





驚きすぎて、声が出ない。





「ってぇな...」





男が振り回していたナイフの刃先が、椎の頬をかする。





赤い血がツーッと流れた。