そのまま、一言も離さずに待ち合わせ付近に。 「お待ちしておりました」 低い男性の声が耳に届く。 笑うと目が消えてしまうのか、にっこりと微笑むと目は糸のように細い。 運転手さんは、帽子を深くかぶっている。 あたしは、普通通りに車に乗ろうとする椎の前に立つ。 すぐに異変に気付いた。 「歩...?」 不思議そうに呟く椎。 「あなた。いつもの人じゃないでしょ?」 静かに睨む。