「歩。帰ろう」 肩に添えられていた夏目の手を振り払う。 「へ? あっ、ちょ...」 いきなり手を握ると、駐車場へと向かった。 でも、ここで夏目と美咲さんを置き去りにするのは...。 「あっ、じゃあ、お先に失礼します...」 戸惑いすぎて、敬語になってしまう。 「あ......。あぁ」 夏目は何かを言いかけた。 少し違和感を抱いたけど、早歩きの椎に追いつくことで精一杯だった。