椎の怒った顔が可笑しくて、笑ってしまう。 ――――グイッ 後ろの襟を掴まれて引っ張られる。 バランスを崩してしまうけど、倒れなかった。 硬い何かが、あたしを支えているから。 「あ。夏目」 顔をあげると、ふてくされている彼がいた。 「『あ。』じゃねぇよ。今日は俺が、歩の相手なのに」 パシッと軽くデコピンされた。 「いたっ...」 若干ヒリヒリした。