「おはようございます」

自分の気だるそうな声にうんざりしながら、バイト先のカフェに入る。
時刻はあと10分で6時。
開店前のカフェほど悲しいものはない。

「おはよう、高山。今朝もずいぶん眠そうだな。」
愉快そうに笑うのは速水さん。

私が16歳の時からお世話になっている”カフェ アントレ”の店長。