今にでも飛び起きて、兄貴のことを思い切りぶん殴りたい。

怒りのあまり拳をふるわせる。
それを見た兄貴が、俺の耳元に顔を近づけて言った。


「幸と優斗は、一緒に生きることなんてできないよ。
だって幸は、誰といたって、どこにいたって、ずっと一人だ。
優斗の声なんて、一生届かない。」


兄貴の言葉が、頭の中でこだまする。

意識を失う直前、兄貴が俺に”お休み”と言って笑った。