気付けば、玄関の前の階段に横たわっていた。

必死に状況を把握しようとする。
どうやら、兄貴に突き飛ばされた拍子に、塀に頭をぶつけたらしい。

今にも落としそうになる意識をつなぎとめたのは、兄貴の言葉だった。

「かわいそうに。こんなに幸のこと好きなのにね。
どんなに頑張っても、伝わらないよ?
もし優斗が俺で、俺が優斗だったら、結果は違ったかもしれないのにね。」

兄貴は、かわいそうなものを見る目で俺を見下す。