翌日。
ライトはボスの仕事が一段落した後、魔王に呼ばれて城へ向かった。
「おお、ライトか。実は今、1つ計画があがっててな」
魔王は友達を招き入れるかのような感じで、ライトを応接室へと案内した。
「計画、ですか?」
応接室には、豪華な装飾の家具が並び、中央に広いテーブルと、いくつかの椅子がならんでいる。
「まぁ、座れよ」
魔王はそう、ライトを椅子の方へ促した。
「あ、はい、失礼します」
「…おまえコーヒー派だったよな?」
魔王はそう言って、隅のほうにあったポットでコーヒーをいれた。
「えっ…あ、す、すみません」
まさか魔王自らそんなことをするとは思ってもいないライトは、慌てて立ち上がって手伝おうとした。が、魔王はそれを拒んだ。
…使用人はどこで何をしているのだろうか?
この部屋には、魔王とライトしかいない。
そんなことを考えながらきょろきょろしていると、ライトが不審に思っているのに気づいたのか、
「オレ、そういうキャラじゃないからさ。使用人は、本当に最低限しか雇ってないよ」
魔王はそう言って、コーヒーをテーブルに置き、自分も席についた。
なんだろう。ライトは魔王のことは大して知らないはずなのに、妙な感覚に襲われた。
「あの…」
「ん?」
「い、以前、どこかでお会いしてたりしませんか?」
「……」
魔王は一瞬、怯んだような表情になった。ように見えた。
が、
「気のせいだろ。オレはおまえと個人的に関わった覚えはない」
そう言って、コーヒーを飲んだ。
「で、ですよね。すみません、なんか」
腑に落ちなかったが、魔王にないと言われれば黙るしかない。
「そんなことより、本題だ。新しい人材を確保するために、人間界に行く」
魔王はそう言って、ライトに数枚の紙を渡した。