ボスの仕事のメインは、グループの管理。
グループ人に仕事を配分し、できるだけ多く重要な任務をこなさせること。
だからボスは皆、優秀な悪魔を囲い、不要な者は切り捨てる。
グループの管理が行き届いている成功率の高いグループ、もしくは大規模で仕事数を多くこなすグループのボスが、高く評価される。
しかし当然、優秀な悪魔にはそれなりの報酬を支払う必要がある。
だからライトは後者、報酬の少なくて済む見習いを多く囲っている。
いわゆる使い捨て。……というのが、建前だった。
「特徴さえ掴めば、割と使える奴もいるんだけどなぁ」
ライトはそう呟きながら、失敗が多い見習いの仕事の配置を考えていた。
ライトは、どんなに出来の悪い悪魔でも、絶対にグループ追放にはしなかった。
それはライトがボスになった時に、自分で自分に誓ったこと。
グループ人時代に、何百という死を見てきた。
同じグループにいた、昨日までそこにいた見習いが次々と殺され、追放され、消えていく現実。
それを、ずっと見てきた。
自分のグループ人を、使えないと、気に入らないと次々に処分していくボス。
必死に生きている者を、本当にただの道具としか見ていない。
大半の者が、こうなることを望んでこうなったわけではないのに。
ライトは、それを目の当たりにしながら、でもどうしようもなくて、自分だけで精一杯で、ずっと悔しい思いをしてきた。
本当は、誰も殺したくない。誰にも死んでほしくない。
でも、今のライトにも、そんな力はない。
だから、せめて、自分のグループ人だけは、生かしたい。
そして、いつかは……
いつかは、みんなが笑って生きられる世界にしたい。
「オレにできるかな。……でも、一歩近づいた」
ライトはそう自分に確認して、気合を入れる。