「グループ制は大変ね」
1人の女が、会話の輪に入り込んできた。
個人制の、貴族だった。
「「「・・・・・・」」」
3人は、会話をやめ、無言で無表情にその女のほうを見る。
グループ制の悪魔と個人制の悪魔は、決して交じり合うことのない存在。
個人制の悪魔は、基本的にグループ制の悪魔を見下している。
親に教育される過程で、そうやって教えられてきたのだ。
あんなふうになりたくなかったら…、と、蔑まれる対象。それがグループ人。
話しかけてきたこの女もまた、そういった教育の下に生きてきた貴族だった。
同じ場に立っても、決して同じだと認められることはない。
フィリスともう1人のボスは、その貴族を貴族と認識した瞬間、嫌悪感を顕わにした。
しかしそこで。
「そうですね、グループ制の悪魔は、戦わないと生きていけませんので」
そう、ライトが返した。苦しそうに笑って。
その反応に満足したのか、その女は笑って仲間のところへ戻っていった。
「あんたよくそんな顔できるわね…腹立たないの?! あんな馬鹿みたいな奴に馬鹿にされたのよ!?」
フィリスはそうライトを睨んだが、しかし。
「べつに」
そう言ったライトの表情は、笑っていたが恐ろしく黒く、相手を完全に見下していた。
「あ、あんた…そうやって私のことも……」
フィリスは、支配下にあったはずの元グループ人に、底知れぬ恐怖を感じた。
「いえ、ボスには本当に感謝してます」
「……あんたって本当、気持ち悪い奴よね…」
そうこう話しているうちに、パーティーは終わり、解散となった。

「はは…まさか、こんな日が来るとはな。なんか笑える」