時は少し流れ、魔王交代の日。
魔界のボスや個人制の貴族、魔系種族の重役達が魔王の城へと集まった。
華やかで厳かな雰囲気の中、現魔王から次の魔王へと”印”が受け継がれる。
その式の後、パーティーが行われた。
「ねぇ、シルアの件、すごかったわね」
ライトがとあるボスと話していると、1人の別なボスがライトに声をかけてきた。
「ああ、いえ、ありがとうございます」
「この子、私の元グループ人なのよ。昔から何考えてるか分からない子だったけど、うかうかしてらんないわね。私達もつぶされちゃうかもよ? ねぇ、ライト」
ライトと話していた女のボスが、笑いながらそう言った。
「いえ、そんな…。滅相もないです」
ライトは苦笑してそう答えたが、それは無害だと判断しているからだった。
ライトの元ボス、フィリスは、これ以上の出世は望んでいない。
フィリスはウェーブのかかった黒髪のツインテールが妙に似合う、ボスの中でも派手な部類のボスで、ボスとしての地位が確立した今、出世よりも自由を求めていた。
「ふーん。こんな優秀な子が元部下だなんて、羨ましい」
「ふふ。私の部下はみんな優秀だけどね。使えない子なんて、いらないもの」
フィリスはそう、満足そうに言った。が、そこで。