翌日。
魔界は騒然としていた。
魔界最大のグループのボスであるシルアが、負けたのだ。まだ幼い少年に。
ボス同士の正式な決闘での負け、それは死を意味する。
シルアのグループでは数千のグループ人が生活していた。
そのグループ人たちが、突然職を失い、散り散りに他のボスの元へと急ぐ。
特に見習いは、少しでも出遅れれば命を失う。
グループ制の悪魔は、ボスと契約してグループに属していないと、体内に魔力を保てなくなって1ヶ月足らずで死んでしまうのだ。
この動きによって、他のグループに在籍している下層の悪魔達も蒼白になる。
優秀な悪魔が入ってこれば、自分が捨てられる可能性もあるのだ。

ライトは、そんな混乱状態の悪魔達を眺めていた。
使えそうな悪魔は、昨夜のうちに自分のグループに取り込んである。
前々からシルアのグループで働かせていたスパイに、内部の情報を流させていたのだ。
ライトに声をかけられた悪魔達は、誰一人として逆らわなかった。
最強だと思っていた自分達のボスを倒したというその少年は、決闘の直後とは思えないほど普通だった。
つまり、圧勝だったのだ。
そんなボスからの誘いを断るわけも、断れるわけもなかった。