この世界は、どうしたら変わるのだろうか?

ここは魔界。魔王が治めている、悪魔たちが暮らしている国。
この魔界のとある大きな屋敷内で新聞片手に朝食をとっているのは、まだ十歳程の少年だった。
髪は肩より少し長く、綺麗な水色。身長はまだ150cm前後だが、かなりの美少年。
しかしその目は、十歳とは思えない、ボスとしての威厳を備えた目をしている。
悪魔は、魔王、個人制と、グループ制であるボス、2流、手下、見習い、という身分で構成されている。
つまりこの少年は、グループ制の中ではトップの身分ということだ。
その少年は、朝食と共にテーブルに置かれている新聞や書類に目を通して、
「やっぱり、あのグループは邪魔だな。潰すしかないか」
少しめんどくさそうな顔でそう呟いた。
”あのグループ”というのは、この少年、ライトのことをライバル視してくる迷惑なボスが治めているグループのことだ。
「今、邪魔されるわけにはいかない」
そう。今、魔界は大きく変わろうとしている。魔王が変わるのだ。
これは、出世を狙うボスにとって、またとないチャンス。
新しい魔王にとっての「1番のボス」の座を、誰かに奪われるわけにはいかない。
魔王交代まで、まだ少し時間がありそうだ。それなら、今のうちに、邪魔な者は排除しなければならない。
しかしグループを潰すというのは、そのボスの下で働いている全ての悪魔達を路頭に迷わせる行為であり、その働いている悪魔達は無関係だ。
うまく他のボスに拾ってもらえればいいが、それができなかった場合、消えることになる。おそらく、見習いは大半が消える運命だろう。
ライトは、そんな運命になってしまったグループ人達のことを少し考え、しかしそれを決断に影響させることはなく、コーヒーを飲み干して席を立った。
「残念な奴だな。オレを敵に回さなければ、結構な実力者でいられたのに」
ライトはそう呟いて、嗤った。