「アロマオイル……」

かろうじてそれだけ読めた。

「アロマオイル?」

羽兎が首を傾げながら、言葉を反芻する。
紘哉は少しためらうと、思い切ったようにふたを開けた。

手で扇ぎ、匂いを確認する。
効果が切れてきているのか、微かな匂いしかしない。

「私にも貸してー」

羽兎は紘哉から瓶を取ると、鼻の近くに持って行く。
確認すると、彼女は顔をしかめた。

「何かさ……癒されない匂いだね」