「アスピリンがどうかしたの?」 「いや……何でもない」 紘哉は上着のポケットに薬の箱を入れると、ズボンのポケットから黒い携帯電話を取り出した。 「ソファの下は全部調べたのか?」 「ううん。右端だけ」 「そうか」 それだけ聞くと、彼はソファの周りを携帯電話で撮り始めた。 それを不思議そうに見つめる羽兎。