定侍はそれを笑顔で受け取る。
そして、羽兎の顔をまじまじと見つめた。

「どうしたの?」

「ワトちゃんは今日も紘哉待ち?」

「ううん。今日は上着を返すために来た」

「そっか」

彼は神妙に頷くと羽兎の頭を撫で、部屋を出ていった。

羽兎は少し嬉しそうに、定侍に撫でられた所を触った。

「定侍さんが殺人なんてするハズがない」

彼女は心の中で確信した。