じゃ、と手を振りながら霞は控室を出ていった。
若干顔がニヤニヤしていた。

「先を越されたのか……?」

そんな事はない、と自分に言い聞かせる。
重要なのはスピードではなく、真実を見極める力だ。

早く犯人の目星がついていても、その人が無実だったら意味がない。

「……」

あまり寝ていないせいか、顔が冴えない。

紘哉はまぶたを擦ると、眼鏡を掛けて控室から出ていった。