『え?そうだけど……』

紘哉は枕元に置いてあった目覚まし時計を見た。

「……8分52秒」

『は?』

「ケイに費やした俺の睡眠時間。その分お前の給料寄越せ」

『いやいや、意味分かんないから!ってか時給いくらの世界じゃ――』

「問答無用。じゃあな」

『オイ!ちょっと!』

恵一の呼び止める声も聞かずに、紘哉は電話を切った。
ついでに携帯電話の電源も落とす。