だからふたりは気が合うんだろうと思った。
「でも、とうとう告白する気になったんだよな」
 yoshiにそう言われて、ナナセは大きくうなづいた。
「こんなヤツだから直接告白なんてできそうにないから、電話がいいと思うんだ」
 yoshiの言葉にあわせて、ナナセは何度もうなづいた。
「麻衣さ、美嘉ちゃんのケータイの番号、知ってるだろ? 教えてあげてほしいんだけど」
 yoshiはアタシにそう言った。
 美嘉に許可もとらずにそんなことをしてはいけないと、わかっていた。
 だけど言い訳になってしまうんだけれど、そのときのアタシは、ナナセの二年越しの片想いを応援してあげたいという気持ちでいっぱいだった。
 それに、ナナセから電話で告白をされた翌朝に、美嘉がどんな顔をして学校に登校してくるのかが見たかった。
 だからyoshiにそう言われたアタシは、すぐに鞄からケータイを取り出して、アドレス帳にあった美嘉のケータイ番号を読みあげた。
 ナナセは練習終わりでケータイを持ってなかったけれど、十一桁の番号を一度聞いただけで覚えてしまった。
 本当に頭がいいんだな、とアタシは思った。
 yoshiはナナセに何度も、今夜美嘉に電話をかけるように話した。
「こういうのは早い方がいい。お前はもう二年も待ってるんだから」
 yoshiは口酸っぱく何度もそう言って、ナナセに覚悟を決めさせた。
「明日美嘉ちゃんに彼氏ができる可能性だってあるんだぞ」
 最後はほとんど脅迫するようにyoshiは言った。
「そ、それは困る!」
 ナナセはとてもあわてて、そう声をあらげた。
 アタシはそれはないと思ったけど、笑ってふたりのやりとりを見ていた。
 そのとき、アタシもyoshiもナナセも笑っていて、これからアタシに起きることを誰も想像してなかったと思う。



 次の日の朝、アタシは美嘉がいったいどんな顔をして登校してくるのか楽しみにして、教室で待っていた。
 朝練のあるyoshiといっしょに登校するアタシは、アタシと彼の分の鞄を持って毎朝一番に教室のドアを開く。