いつものように家を出ると、少し離れた場所に、いつも居ない人の姿があった。
「……誠?」
「おはよ」
「ど、どーしたの?」
あたしは昨日の帰りの事もあって、少し動揺しながら思わず足を止めた。
「お迎えに上がりました」
誠はいつものように、にっこり笑う。
あれ、昨日の事、気にしてないのかな。
気にしてるのってあたしだけ?
夜眠れなかったのもあたしだけなの!?
その何事も無かったかのような笑顔に、不安になる。
しかも、誠の家からあたしの家に来る為には、一回高校を通りすぎないといけない。
前まではいつも遅刻していた誠。
わざわざ来てくれたんだ。
何だか誠の考えてる事が理解できなくて、
何だか恥ずかしくて、視線を足元に落とした。
「む、迎えなんてイイのに」
「俺が一緒に学校行きたかったの」
そう言って優しく微笑む。
「あ……りがと」
あたしの言葉に満足気に笑って、歩き出す。
「行こう」
振り返って笑った顔はキラキラしてて、朝の陽射しも負けていた。
なんか悔しいな。