「俺が好きなのは、のんだよ」
誠はあたしに向き直り、あたしの目を見て言った。
あたしは誠の言ってる事が理解できなくて……。
「え、あ……あたし?」
あたしの事を好き……って事?
心の中で、今誠が言った事を整理した。
でもそんな事は信じられなくて。
「ば、バカじゃないの!?」
だから出た言葉は、そんな言葉だった。
あたしは自分の家の玄関前まで走って、鍵を探した。
でもこんな時に限って鍵は中々見つからない。
玄関前でもたもたするあたしに、誠は言った。
「本気だから!霧島になんか負けねーよ」
振り返り誠を見ると、笑顔で
「じゃ、また明日」
と去って行った。
「う、嘘ぉ……」
玄関前にしゃがみ込み、ドキドキを抑えるのに必死だった。