こうして照明係や衣装係、その他諸々の、クラス全員の役割が決まった。



「ねぇ結夢、あたしに何か怨みでもあるの?」

いちごオレを美味しそうに飲む結夢を、恨めしげに言った。

「あるわけないじゃん。誠とペアになるの、そんなに嫌だった?」

「別に嫌じゃないけどさ!あたしだって、他に組みたい人がいるかもじゃん」

大好きなメロンパンを食べても何と無く味気無くて、手を止めた。

「愛しの叶チャン以外に誰がいるのよ」

確かに……そうだけど。

結夢はいちごオレをズズーッと啜った。


別に嫌じゃないけど、嫌じゃないんだけど……

何であたし、こんなに怒ってるんだろ。

「のんさぁ、誠の事になると過敏だよね。それってどーしてかなぁ?」

空になったいちごオレのパックをごみ箱に投げ入れ、結夢はいつものニヤニヤした笑いとは違う、優しい笑顔で言った。

「そ、そんな事ないよ。普通だよ、普通」

結夢の言った事か、それともいつもと違う笑顔にかは分からなかったけど、あたしはドギマギしてしまった。

「今までどんな男に言い寄られても無関心で、一掃してきたのにねぇ」

結夢はその笑顔で続けた。