なぜか長く感じたいつもの帰り道に、あたしの心情を察してか、ちょうど我が家が見えてきた。
ホッと胸を撫で下ろした。
「もう近くだからこの辺で大丈夫、ありがとう」
誠に向き直って、歩みを止めた。
「家の前まで送んなくて大丈夫?」
「大丈夫♪ありがとね、また明日」
誠の返事も聞かないで、あたしは家に向かって歩き出した。
「明日も送るから!一緒に帰ろうな!じゃ」
後方から聞こえる誠の声に驚き、振り返った。
「ちょッ!待って……」
そう言って振り返った時には、誠の後ろ姿はもう小さかった。
追い掛けて行くのも変だと思い、その後ろ姿を呆気に取られたまま見送り、また家路へと歩みを進めた。
家の前まで来ると、隣の叶チャンの家を見上げる。
それはいつもの癖。
見上げた叶チャンの部屋は明かりがついていた。
何してるのかな……
そう思いながら、誰も居ない静まり返った我が家へ「ただいま」と言って入って行った。