あれから俺は、一年間東京の高校に通い、無事卒業した。
あの一年間は、昔のぞみに作ってやったエプロンを眺めて寂しさを紛らわした。
まぁ、そんな事で紛れるわけではないんだけど、手元にあいつの宝物を置いておきたかった。
そーすれば、何があってもその宝物を口実に逢う事が出来るだろ?
なんて女々しい俺。
卒業してから進学はせず、地元で就職をした。
それからのぞみと俺の交際が始まる。
付き合ってみて初めて知るような事もあり、それは新鮮で、もっと知っていける事が嬉しかった。
のぞみは短大を卒業し、喫茶店で働いている。
遠野は高校を卒業してから、俺とは入れ違いで東京の大学に進学したらしい。
遠野はのぞみをずっと忘れられず、誰と付き合っても長くは続かなかったそうだ。