「誰がッ!」

「じゃあどーした?」

「もう、どーしたじゃないよ。あたし達文化祭のクラス委員でしょ。今日から放課後は毎日残らなきゃなの」

掴んだ腕に力を込めて力説した。

「そーなんだ!じゃあ放課後はずっとのんと一緒か」

誠は嬉しそうに笑った。

そんな表情を訝し気に見ていたら、ある事に気付いた。


腕掴んだままだしッ!


慌てて手を離す。


離した自分の手を眺めていたら、なぜか叶チャンを思い出し、溜め息が出た。

「はぁ〜ぁ、叶チャンと一ヶ月も一緒に帰れないなんて……」

そしてまた落ち込んでしまった。


「霧島の事?」

また声に出てしまっていたらしく、誠の口からは聞いた事が無かった、あたしの愛しい人の名前が発せられた。

「うん。叶チャンの事知ってるんだ」

「まぁ、有名だし。のんたまに一緒に帰ってんじゃん」

「ふ〜ん、よく知ってるね」

誠も十分有名よ、バカ殿って♪

と言ってあげようか迷っていたら、最近聞いた覚えのある、甘ったるい女の子の声がした。