「叶チャン……」


声を掛けると、叶チャンは振り返った。




その姿はとても綺麗で。

王子様みたいで。

整った顔立ちに、タキシードがとてもよく似合っていた。



あたしはそんな人に見詰められるのが恥ずかしくて、俯いた。



あたしなんて、まるで七五三だ。




叶チャンは俯くあたしの手を、優しく握った。



顔を上げると目が合って……


優しい笑顔に、あたしはまた頬を赤く染めるんだ。




「のぞみ……」



なんて言われるんだろう。


「綺麗だ」って言ってくれるかな。





そんな期待に高鳴る胸の鼓動。










「のぞみ……七五三みたいだな」


「ヒドッ!」



膨れるあたしに、叶チャンは思い切り笑った。



だからあたしも、まだ今は七五三でイイや……


なんて思うんだ。