「あたし、認めてたの、目標だったの……のぞみサンもマコも、好きだからッ、二人で幸せになって、欲しかっ…たのよぉッ」
そう言って美姫は、あたしの制服を涙で濡らした。
「……ごめんね」
あたしは美姫に抱きしめられながら、それしか言えなかったんだ。
美姫は綾チャンとの通学途中、誠と偶然会ったらしい。
その時、誠が指輪をしていない事に気付いて、問い詰めたら……
――別れたんだ。
一言そう言われ、あたしの元へと急いで来てくれた。
美姫は、心配してくれたのかな。
「俺の所為……?」
叶チャンは悲痛な顔をして、あたしに問い掛けた。
「違う……」
あたしは微笑み返す。
でも、ちゃんと笑えているのかな……。
「俺、あいつと話してくる」
そう言って教室を出ようとする叶チャンの腕を、両手で掴んだ。
振り返った叶チャンの顔を、あたしはじっと見詰める。
眉をひそめる叶チャン。
あたしは掴んだ手に、力をこめた。