「何でよ……」


静かに、震えた声で美姫が呟いた。


あたしはその顔が見れなくて、美姫の震えた拳を見詰める。



「何で別れんのよ……ねぇ、何で別れちゃうのよ!?」



美姫の震えた怒鳴り声が、教室に響いた。


その声に、クラスの皆はあたし達に目を向ける。




「…………」



さっきよりも力がこめられた拳を、あたしは無言で見詰める。


美姫の顔が見れない。




「あたしがッ……あたしがあんなに頑張ってマコの事忘れたのに!何でよぉッ!何で別れたりするのよぉッ!!」



美姫の拳は振り上げられ、



あぁ、あたしは叩かれるんだな……




そう思った。



だから、顔を上げた。




「ごめんね、美姫……」



堪えていた涙は、あたしの頬を伝った。


そして美姫の目には、沢山の涙が溜まっていた。





美姫は、振り上げた手を勢いよくあたしに振り下ろし





「……ごめんなさい、こんな事言いたかったんじゃない、違う、違うのぉッ……」



あたしを抱きしめた。