あぁ、そーか。
ここに誠が居ない事は、当たり前の事だから……。
寂しさを感じない。
誠は、あたしに幸せになれって言ったけど、きっと、今は無理だ。
誠との思い出を引きずるあたし。
自分の気持ちさえも騙して誠と付き合った、あたしへの罰だ。
あたしだけが幸せになんてなれない。
「ロリ、指輪は?」
ピロリンの声に、はッと我にかえる。
三人の顔を見ると、皆、あたしの左手の薬指を見ていた。
ピロリンはどーしてそーゆう事口に出すかなぁ。
何で気付いちゃうかなぁ。
何も言えないでいるあたしに、三人は眉をひそめ、あたしの言葉を待っていた。
でも、何も言いたくない。
俯いていると、教室の戸が思い切り開かれる音がした。
「美姫チャン!待って!」
それと同時に聞き覚えのある声と、名前が耳に入った。
その方向に顔を向けると、そこには眉を吊り上げた美姫と、後ろで戸惑った様子の綾チャンが居た。
美姫はその形相であたしの目の前に来て、睨む。