あれで緊張してたんだ。



“男の役目だろ”


そう言ってあたしを送る事を提案してくれた誠。


“フェミニスト?”

“のんにだけね”


悪戯っ子みたいに笑ったその顔と台詞に、あたしは胸をときめかせたね。





「のんに告ったのも、帰り道だったな……」



あたしはその時、まさか誠があたしを好きだなんて思ってなくて


“バカじゃないの!?”


って言ったっけ。



だって、友達だと思ってたんだもん。

あの頃はまだ叶チャン以外の人を好きになるなんて思わなくて。

でも誠の事を気にしている自分もいて。





「付き合ったのも、初めてキスしたのも、ここだったな」



あたしの家の前。


いつの間にか着いていた。



誠はあたしの家を見上げ、あたしに視線を落とす。


そして、小さく微笑んだ。



「クリスマスプレゼント、貰ってイイ?」



「……え?」



クリスマスプレゼント、誠が欲しい物があるって言っていた。



こんな所には何も売ってないし、あたしは何も持っていない。


眉をひそめて誠を見ると、誠は目を伏せて呟いた。