手を引かれその場を後にすると、今度はあたし達の学校の前に来ていた。



門は閉ざされ、校舎に明かりは一つも灯っていない。



「誠……?」


どーしてこんな所に来たのか疑問に思い、誠に問い掛ける。


でも誠は、暗い校舎に顔を向けたまま、何かを考えている様だった。



「学校に、来たかったの?」


もう一度問い掛けると、ようやくあたしに顔を向けた。


「初めて手を繋ぎながら学校に行った日、嬉しかったな」



去年、誠と付き合って初めて、手を繋いだ。

校門に入る時、あたしは周りの視線が気になって、手を離した。

でも、もう一度繋ぎ直して教室に向かったね。


それでクラス中に冷やかされて、質問されて……。



誠は、嬉しそうに笑ってたっけ。









また誠はあたしの手を引き、歩き出した。


その道は、いつも学校から帰っている道。



もう何度この道を二人で、手を繋ぎながら歩いたかな。


初めて二人で歩いたのは……



「文化祭のクラス委員になってさ、のんと初めて帰った時、俺スゲー緊張してたんだ」


誠は前を向いて思い出した様に苦笑いした。