点呼の事とか結夢の事で気にしていなかったけど、


あたしの目の前には叶チャンの肩があって。


あたしの肩は叶チャンに触れている。


ドアを開けようとのばした手も掴まれたままだし。


見上げれば、すぐに叶チャンの顔がある。





近いよ。






それに……





何でそんな風に見詰めるの?




叶チャンの、あたしを見詰めるどこか寂しそうな視線に耐えられなくて、あたしは目を伏せた。




そんなあたしに、叶チャンは尋ねる。






「のぞみが一番幸せだった時っていつ?」





……何でそんな事聞くの?




「その幸せだった時に、俺は居た?」




何で……






叶チャンの顔を見上げると、やっぱり寂しそうに笑っていた。





あたしが一番幸せだった時


あたしが一番幸せだった時って、いつ……?




そこに叶チャンが居たのか




その答えはきっと――……






「……何で、そんな事聞くの?」



あたしのその問い掛けに、叶チャンは小さく笑って



「何と無く」



って、呟いた。