叶チャン、去年来てくれてたんだ。
ちゃんと見に来て、くれてたんだ。
「……ありがとう」
あたしは二つの意味を込めて、叶チャンに微笑んだ。
「別に褒めてねーよ」
あたしのお礼の意味を一つしか分かっていない叶チャンは、苦笑した。
あたしが気付かなかっただけで、叶チャンはいつも、あたしの傍に居てくれたんだね。
見ていてくれたんだね。
守ってくれてたんだね。
想って、くれてたんだね……
「のん」
「のぞみチャン」
「誠ぉ♪宮下クンも久しぶりぃ。バカ殿ーず☆活動してるんだぁ」
「「バカ殿ーず☆?」」
二人の間抜けた声が重なった。
「あ、何でもない何でもない」
あたしのクラスのメイド喫茶は中々好評で、お客サンは絶えない。
と言うか、結夢の周りには男性客が大漁で、叶チャンと、意外にもピロリンの周りにも女性客が大漁だ。
あたしはサッサカ料理運んでるのにさ!
ちょっと悔しかったりなんかしたりしなかったり。